法人税

　　現在の世界の先進国はほとんどが赤字財政の困難を抱えている。　それは社会の維持に必要な財源を税金等で確保できていないことを意味する。　これが先進国ほとんど全部に共通することは、現在の経済・財政モデルに根本的な問題があることを示す。
　　税金には、個人および企業の収入に対して課税する直接税と、支出に対して課税する間接税とがある。　そして直接税は個人の収入に対して課税する個人所得税と企業に対して課税する法人税とからなる。　いずれも主権国家が分立している現在の世界では、「国家主権絶対神話」と国家の「財政主権」によって、各主権国家がそれぞれの税制に従って徴収する。　従って、法人税率も国によって異なり、グローバル企業、つまり多国籍企業は、なるべく法人税の安い国に所得を集めて節税に励む。　このこと自体は企業の本性に関わることなので非難の対象にはならない。　しかし、タックス・ヘイヴン国の存在は話をややこしくする。
　　法人税はグローバル企業にもその収益に応じて、社会を維持するための費用を応分に負担することを求めるべきだと考えて法人実在説にのっとり課税する。　そして法人税率は世界で統一し、それを引き上げて、地方税を含めて純利益の半分程度課税する、すなわち実効税率を 50％程度とする。　法人税率を世界で統一するので、主権国家が企業誘致を目的とした法人税率の引き下げ競争をすることはなくなり、タックス・ヘイヴンのような現象もなくなるので、この程度の実効税率で法人税を徴収することは十分可能と考える。
　　この方法の柱は、法人税率の世界統一である。　「国家主権絶対神話」のもとではそれは難しいことではあろうが、たとえばG20でその合意が得られれば、その決定を国連の場で権威づけて、その道義的権威のもとでタックスヘイブン国を含む世界各国を説得することは、困難ではあっても不可能ではないと考えている。

要目目次に戻る

　　